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飼い主のいない猫について
1.飼い主のいない猫への対策にご理解を
飼い主のいない猫(野良猫)について、様々なご相談が市に寄せられています。
「庭に糞や尿をされて困っている」、「無責任な餌やりさんがいる」、「次々と子猫が増える」など、相談内容はさまざまですが、環境衛生問題としてのご意見がほとんどです。
捕獲・処分して欲しいという相談もいただきますが、猫は「動物の愛護及び管理に関する法律(通称:動物愛護管理法)」で愛護動物と定められており、むやみに捕獲や処分を行うことができません。
一方で、「かわいそうな猫を助けてあげたい」、「これ以上増えないように不妊去勢手術を受けさせたい」など、動物愛護の観点からのご意見もいただいております。
2.猫は繁殖力の強い動物です
猫は繁殖力が強く、年間で3回ほど出産し、1回に4~8匹の子猫を産みます。
メス猫は生後6か月程度で出産することができ、交尾の刺激で排卵するため、交尾をすればほぼ100%妊娠します。繁殖制限を行わなければ、爆発的に増えていきます。
3.地域猫活動について
飼い主のいない猫の問題を解決するための一つに、地域住民が協力して、猫の不妊去勢手術を実施し、正しい餌やり・清掃を行うなど総合的に猫の世話(管理)をする「地域猫活動」があります。
「1.飼い主のいない猫への対策にご理解を」でも、ご紹介したように「飼い主のいない猫でも何か助けてあげたい」とお考えの方はいらっしゃいます。一方で「飼い主のいない猫に迷惑している」とお考えの方もいらっしゃいます。また、猫が好きな方、無関心な方、猫が嫌い、または、苦手(動物アレルギー体質なども含む)な方など、様々な方がいらっしゃいます。
飼い主のいない猫を勝手気ままな「飼い主のいない猫」として放置するのではなく、また、猫の嫌いな人にもある程度許容してもらえる「地域猫」として一定の緩やかな管理をその地域の方が行い、見守りつつ、猫の生活環境被害を軽減する。そして、将来的には飼い主のいない猫を減ら、かつ地域の環境美化を行うことが目的です。
飼い主のいない猫の問題は、地域の問題であるという共通認識を持って、地域の方、ボランティア、行政がそれぞれの役割のもと、協働で取り組むことが大切です。
その取り組みとして地域猫活動と密接な関係性がある活動である、飼い主のいない猫の繁殖を抑え、そして一代限りの生命を全うさせるための「TNR活動」をご紹介します。
4.TNR活動について
飼い主のいない猫を捕獲(Trap)し、不妊去勢手術(Neuter)を行い、元のいた場所に戻す(Return)活動です。これは、飼い主のいない猫の繁殖を抑えて、人間と共存するために行う活動です
TNR活動による繁殖制限の効果の他に、期待される効果として、不妊去勢手術を受けた猫は、穏やかに日常を過ごすことが出来ます。具体的には以下のとおりです。
オスの猫 |
・ケンカによるケガの防止 ・スプレーやマーキングの抑制 ・ケガや病気の予防 ・尿の臭いの軽減 |
メスの猫 |
・発情がなくなり、鳴き声を抑制 ・妊娠、出産の身体的ストレスから解放 ・性感染症などの病気の予防 |
5.不妊去勢手術の支援について
(1)飼い主のいない猫不妊去勢手術費補助金制度
本市では、市民の快適な生活環境を確保するため、飼い主のいない猫不妊去勢手術費に対して補助を行っています。
オス | メス |
---|---|
16,000円 | 26,000円 |
※詳しくはこちら(那珂川市飼い主のいない猫不妊去勢手術費補助金)
(2)どうぶつ基金「さくらねこ無料不妊手術事業」
「公益財団法人どうぶつ基金」では、発情期の鳴き声、ふん尿などの飼い主のいない猫による様々なトラブルは、現在に至る大きな問題であり、その問題解決のために、これまで多くの飼い主のいない猫が殺処分されたにも拘らず、これらの社会問題は解決することはありませんでした。
このように、殺処分される不幸な命を減らすため、1匹でも多くの猫に不妊手術を施すことが殺処分ゼロを実現する最も有効な手段であり、さくらねこ無料不妊手術事業を行っています。
この事業は、飼い主のいない猫の問題は殺処分ではなく、不妊手術(TNR)によって解決しようとする行政やボランティアの方を応援する事業です。
「さくらねこ無料不妊手術事業」は一般・団体・行政の3つの枠で申請を区分しており、市は行政枠として、公益財団法人どうぶつ基金へ申請を行い、さくらねこチケット(「さくらねこ無料不妊手術事業」を利用するために必要)をご提供いただいています。チケットにつきましては、ボランティア団体に配付し、TNR活動を行っています。
※詳しくはこちら(どうぶつ基金「さくらねこ無料不妊手術」(行政枠))
※公益財団法人どうぶつ基金(さくらねこ不妊手術事業)のホームページ<外部リンク>
「さくらねこ」とは
不妊去勢手術済のしるしに、耳先をさくらの花びらの形にカット(V字カット:オスは右耳、メスは左耳)した猫のことです。さくらの花びらの形のようでもあるため、このような名称がついています。
「公益財団法人どうぶつ基金」とは
1988年横浜で設立された民間・非営利の動物愛護団体です。活動資金のすべてを民間からの寄付で賄っており、飼い主のいない猫や多頭飼育崩壊の犬・猫の無料不妊去勢手術、里親探しの支援、啓発を行っています。
6.これまで不妊去勢手術を実施した実績について
市の補助金やどうぶつ基金を利用した不妊去勢手術済み頭数です。
年度 |
飼い主のいない猫 不妊去勢手術費補助 |
どうぶつ基金 (さくら猫無料不妊手術事業) |
令和3年度 | - | 128 |
令和4年度 | 40 | 127 |
令和5年度 | 40 | 47 |
令和6年度 | 41 | 84 |
計 | 121 | 386 |
合計 | 507 |
7.飼い主のいない猫を減らしていくためのお願い
地域猫活動は、飼い主のいない猫を排除するのではなく、猫の繁殖を抑えて、地域の住民の方と共存することを目指すものです。
本市では、今後も飼い主のいない猫を減らしていくための取り組みを進めていきます。皆さまのご協力をお願いします。