本文
※演説をそのまま掲載しています。
令和6年9月那珂川市議会定例会の開催にあたり、市政運営に関する所信を申し上げる機会をいただき、深く感謝申し上げます。
私、武末茂喜は、7月28日に告示されました那珂川市長選挙において、市民の皆さまからご信任をいただき、引き続き市政を担わせていただくことになりました。改めてその職責の重さに、身の引き締まる思いでございます。これからの4年間は、市民の皆さまの負託にお応えし、那珂川市のさらなる発展のために全力で取り組んでまいる所存でございます。
さて、私は、那珂川町長として約10年間、そして那珂川市長として約6年間、延べ4期16年間、多くの市民の皆さまとコミュニケーションを図り、市民の皆さまの目線で、心の通う政策を基本的スタンスとして、さまざまな施策に全力で取り組んでまいりました。その歩みを止めることなく、これまでの「変革と発展、そして、進化する街づくり」を継続し、本市のさらなる「進化」を目指し取り組んでまいる決意です。
それでは、私の市政に対する所信の一端について述べさせていただきます。
まず、若い世代・子育て世代に寄り添う街づくりについて申し上げます。少子高齢化や人口減少が加速する中、本市の将来を担う子ども達の環境を整え、子どもを安心して生み育てられる子育て環境を充実することは非常に重要です。新たな取り組みとして、こども医療費の18歳までの段階的な完全無償化、保育料多段階化による保護者負担の軽減、病児病後児保育の拡大など、さらに安心して生み育てられる子育て環境の充実に努めてまいります。また、老朽化した学校校舎などの大規模改修については、計画的に長寿命化を図り、教育環境の整備に取り組んでまいります。
次に、ご高齢者の皆さまと共に歩む街づくりについて申し上げます。本市の高齢化率は県内でも低いものの、高齢化は確実に進んできています。高齢者の皆さまが、住み慣れた地域で、健康で活き活きと暮らすための支援は重要です。これまでも自動車の安全運転支援装置の購入補助などに取り組んでまいりましたが、今後も継続した支援を行うとともに、新たに「帯状疱疹ワクチン」の接種費用の助成を行ってまいります。また、公共交通については、現在運行している、かわせみバス及びデマンド交通を再編し、バス運転手不足の対応とともに、ご高齢の皆さまや通勤通学をされる方など、誰もが利用しやすい交通体系として、AIを活用した最適な運用ルートで配車をリアルタイムに行う「AIオンデマンド交通」の導入に取り組んでまいります。
次に、さらなる進化を遂げ飛躍する街づくりについて申し上げます。農業生産者の意欲向上や農業後継者を増やしていくために、農業振興への支援を継続していくとともに、地産地消の観点から学校給食への地元農産品の供給拡大を行ってまいります。一方、本市のさらなる活性化を図るために、新たな取り組みとして五郎丸土地区画整理事業を支援し、都市機能のさらなる充実と市民の皆さまの利便性向上を図りながら、魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。また、市内の産業振興は本市のさらなる発展のために必要です。新たに中小企業振興条例を策定し、市内中小企業の持続的発展へとつなげてまいります。また、現在取り組みを進めております、中原東地区へのJR西日本事業所の誘導や給食センター誘致を確実に進め、あわせて市内産業の振興を図ってまいります。
次に、博多南駅の利便性向上に向けた取り組みの要望について申し上げます。博多南駅と博多駅を結ぶ博多南線は、市民にとってかけがえのない公共交通となっております。博多南線の利用者数の増加に合わせて、通勤通学の交通問題を解消することは、市民生活の利便性を向上させるために必要です。特に、博多南線の交通系ICカード導入や駅ホーム拡幅は、市民の皆さまからも多くご意見を頂戴しております。今後も、周辺自治体と協調しながら、JR西日本への要望活動を継続し、博多南駅の利便性の向上につなげてまいります。
次に、プレミアム商品券の継続的支援と那珂川市商工会の支援について申し上げます。市内経済を活性化していくうえで、那珂川市商工会との連携は非常に重要で、かつ、不可欠なものであると認識しております。これまで、市内の消費喚起のため、商工会が実施するプレミアム商品券発行事業の支援に、市としても積極的に取り組んでまいりました。今後も引き続き、プレミアム商品券発行事業をはじめとして、商工会の各種事業への支援を行いながら、連携して市内経済の活性化に取り組んでまいります。
次に、国道385号の渋滞緩和に向けた活動の取り組みについて申し上げます。国道385号は、片縄から山田交差点までの4車線化の全線開通や南畑バイパスの事業着手など、将来に向けた安全性・利便性の向上が図られる一方、通勤通学時間帯における、野多目交差点付近を起点とした交通渋滞の緩和が課題となっています。そのため、右折レーンの延長や歩車分離式信号の設置など、関係機関への要望活動を継続し、野多目交差点付近の交通渋滞緩和に向けた取り組みを行ってまいります。
次に、こども・高齢者の健康づくりと市民活動のための公園再整備等の実施について申し上げます。ゆとりある市民生活の充実には、子どもから高齢者までの幅広い世代が活用できる公園整備が必要です。令和9年度末にオープンを予定しております総合運動公園整備をはじめとし、長年の課題である安徳公園の再整備、南畑地区及び東隈区への公園新設などを順次、進めてまいります。
次に、安徳台遺跡などの文化財保護に向けた取り組みについて申し上げます。本市には、長い歴史のなかで、連綿と受け継がれてきた先人たちの足跡が、貴重な文化財として多く残されています。一度失われると二度と元に戻すことができない貴重な文化財は、市民の共有財産として確実に未来へ継承していくことが必要です。特に、国史跡については、「安徳台遺跡」における地元関係者等との協議を重ねながら、「安徳大塚古墳」とともに、保存活用に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、男女共同参画社会の積極的な推進について申し上げます。市民の皆さまが自分らしく心豊かな生活を送るためには、男女共同参画社会を推進し、性別に関係なく相互に尊重する社会活動へとつなげていくことが必要です。これまでも自治会運営に女性の登用を図るため、積極的に取り組んで参りましたが、今後も継続した支援を行い、地域活動をはじめ、さまざまな社会活動において、だれもが個性と能力を発揮して活躍できる男女共同参画社会の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、税収を増やし、稼げる自治体となるべく市役所組織改革の実施について申し上げます。今後の市の発展のためには、「選択と集中」による健全で持続可能な行政運営が不可欠です。社会保障関係経費の増加や物価高騰など、財政面における本市を取り巻く状況は年々厳しくなっており、新たな財源の確保は急務です。来年度の市役所の組織改革では、ふるさと納税の増額や企業誘致などに取り組む専門部署を創設し、稼げる自治体、魅力的な自治体を目指し、「選択と集中」による行財政改革に引き続き取り組んでまいります。
以上、5期目の市政を担当させていただくにあたり、私の所信の一端を申し上げました。少子高齢化・人口減少が進行する中でのまちづくりは、行政の力だけでなし得るものではありません。引き続き、市議会議員の皆さまや市民の皆さまをはじめ、市内各種団体や企業など、多くの皆さまとともに、職員と知恵を絞りながら全力で取り組んでまいりたいと考えております。今後とも皆さまのご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。
那珂川市長 武末 茂喜