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第6回:住宅地における獣害対策

更新日:2024年10月1日更新 印刷ページ表示

市街地へと拡大する獣害問題

 野生動物による被害というと、長く中山間地域での問題であると考えられてきました。しかし、最近では都市部でも頻繁に動物を見かけるようになり、交通事故や家屋への住みつき、人への噛みつきなど深刻な被害も発生するようになってきました。
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 また、人の生活圏で暮らす動物が増えたことで様々な感染症のリスクも高まっていると考えられています。

住宅地での獣害対策

 住宅地でイノシシやシカなどの大型動物による被害を防ぐ場合でも、柵は効果的です。地区全体を囲う柵の存在はとくに重要で、たとえ穴を開けて動物が侵入した場合でも、侵入ルートを特定できることで、迅速に問題に対処できるようになります。非農家の多い市街地では、住民全体の合意が得られなかったり、財源が確保できなかったりと調整が難航することも少なくありませんが、被害に遭うのは農家だけではないので、地域でよく話し合ってみることをお勧めします。
 中・小型動物の対策でも柵は有効です。家庭菜園や庭の果樹、家禽類など守りたい財産がある場合は、電気柵や金網柵と電気柵を組み合わせた複合柵で被害を防ぎましょう。一方、家屋への侵入など、柵による防衛が難しい環境では、加害個体を捕獲しないと問題が解決しないこともあります。野生動物の捕獲には許可が必要ですので、お住まいの地域の役所にご相談ください。

出会いがしらの事故を防止するために

 人の生活圏への依存度が高まると、動物は住宅地やその周辺に定住するようになります。アライグマやアナグマは家屋や納屋、畜舎に住みつきますし、イノシシやシカは放置された竹林や河川敷の藪の中で寝るようになります。こうなると心配なのが、出会いがしらによる事故です。普段はめったに人前に姿を見せない夜行性の動物も、慣れると平気で日中に出没するようになります。
住宅地(2)
 特に朝夕の時間帯は、人との接触機会が増えるため十分な警戒が必要です。事故の多くは、動物が驚いてパニックを起こしたときに発生するので、鈴やラジオを鳴らしながら歩くことで、事前に自分の接近を伝えるように心がけましょう。
 もちろん、人の生活圏に依存させないための対策も必要です。生い茂った藪や竹林、耕作放棄地は安全な潜み場になりますし、収穫せずに放置された柿や栗の木は栄養価の高いエサ資源として動物を寄せつけます。生ゴミの管理などとあわせて、動物が人の生活圏に魅力を感じないよう対策を講じましょう。

                                         株式会社野生鳥獣対策連携センター
                                         専務取締役 阿部 豪