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第3回:「地域ぐるみ」で捕獲する!

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年2月9日更新

1.はじめに

 野生動物の捕獲には狩猟免許や捕獲許可が必要ですので、誰でも勝手に捕獲はできません。しかし、平成24年度に捕獲補助者制度の運用が始まったことで、狩猟免許を持たない人でも、銃器以外のによる捕獲方法など一定の要件を満たせば、わな等による有害鳥獣捕獲に補助者として参画できるようになりました。補助者にできる主な作業は、わなの見回りとエサやりですが、これが実はとても重要な役割なのです。

 そこで今回は、特にエサを用いて動物を捕獲する箱わなや囲いわなの運用について、地域ぐるみで取り組む際のポイントを解説します。

2.場所を選ぶ

 捕獲で最も重要なのが捕獲場所の選定です。ポイントは、できるだけたくさんの獲物が頻繁に利用する場所を見つけることです。被害対策のための捕獲では、被害を出している動物が利用している場所を特定する必要があります。

 単純に考えれば、被害地こそ対象となる動物が確実に現れる場所なのですが、そこには他にもおいしいエサがたくさんあるため、なかなか効率が上がりません。探すべきは動物がねぐらを出て、被害地にたどり着くまでに使う決まった通り道です。通常、捕獲者は痕跡の鮮度や濃淡をたよりにこの道を見つけますが、他にも有効な手があります。その一つが目撃情報の整理です。

 地域のみなさんが何気なく見ている光景も、きちんと整理すれば貴重なデータになります。動物はいつも決まったルートでエサ場に現れるので、頻繁に目撃される場所は、そこを通らなくてはエサ場に着けない主要道路ということになり、わなへの出会い確率も必然的に高くなります。できるだけ新鮮な情報がたくさん集まるように工夫しましょう。

図1 [PDFファイル/314KB]

3. わなをエサ場と認識させる

 箱わなで動物が捕獲されるのは、そこがエサを食べる場所だと認識するからです。経験の浅い若い動物は警戒心が低いため、すぐに慣れますが、成獣はそう簡単に警戒を解いてくれません。彼らを捕まえるには、そこが安全で常に新鮮な食べ物にありつけるエサ場だと学習させる必要があります。そのために必要な作業が、毎日の餌付けです。量は少なくても、毎日確実にエサを食べられると分かれば、動物は習慣的に姿を現すようになります。徐々にわな内へと誘導し、奥でエサを食べることを覚えさせることができれば、あとは適切なタイミングで扉を閉めるだけです。エサの確保や保管、毎日の餌付けは大変なので、誰かに任せきりにせず、みんなで協力して取り組むことが大切です。

図2 [PDFファイル/254KB]

専務取締役 阿部 豪